【後編】東広島市の中小企業支援はどう組み立てるべきか

(あくまで現時点の個人的な方向性としての整理です)

こんにちは、東広島市議会議員の上岡裕明です。

前編では、所管事務調査の初回ヒアリングを踏まえて、
中小企業の課題の根っこは粗利と自由度(お金+時間+交渉力)にある
という私なりの整理を書かせていただきました。

後編では、ではその根っこをどう改善していくのか。
行政としてどんな方向性があり得るのか。

あくまで今は調査の序盤で、個人的な見解でしかないのですが、
現時点での「方向性イメージ」をまとめてみます。

(※今後の調査・視察・執行部の追加説明などで、考え方が変わる可能性は大いにあります。
そのうえで “たたき台” として読んでもらえれば嬉しいです。)

■ 1. まず「粗利」と「自由度」をどう取り戻すかが中核になる

中小企業支援と一言でいっても、テーマは本当に幅広いです。

  • 人材確保
  • DX(デジタル化)
  • 生産性向上
  • 賃上げ
  • 事業承継
  • 価格転嫁
  • 商圏拡大
  • 付加価値向上

など、まだたくさんあると思います。
ただ、これを全部バラバラに進めようとすると、
市も企業も、どこに力を入れればいいか見失ってしまいます。

ですので私は、
「粗利」と「自由度(お金+時間+交渉力)」を増やすことを「軸」に据えること
が大事ではないかと感じています。

粗利が増えれば
→ 賃上げできる
→ 人材が来る
→ 生産性改善に時間を使える
→ 新商品も試せる
→ 承継しやすい企業になる

という 良い循環 に入るためです。

※市の景況アンケートでも、物価・仕入高騰、価格転嫁の困難、人材不足が継続的に最上位にあることから、
「粗利と自由度」に課題の根があるという仮説は、市のデータとも矛盾しないと感じています。

■ 2. 解決の順番を「価格 → 人材 → DX → 承継」で“流れ”として支援する

今の行政支援はどうしても

  • 補助金
  • セミナー
  • 個別相談

など点の支援になりがちですよね。

でも人口減少の中では、
企業が一社で全部の改善をやりきるのはもう難しい時代ですよね。

そこで、市としては
流れの支援に切り替える必要があるのではないか?
というのが、現時点の私の方向性です。

① 価格(粗利)

まず値段のつけ方が変わらない限り、
人材投資もDX投資も回りにくい。

  • 原価の見える化
  • 原価積み上げ計算による値決めの脱却
  • 値上げ交渉の台本
  • 「価値・強み」の言語化
  • 商圏の見直し
  • 粗利の出る商品設計
  • 粗利が高いワンランク上の商品化

ここは Hi-Bizなど“フロント支援”の役割が大きい

② 人材(業務棚卸・副業・採用)

自戒を込めてですが、現場が忙しすぎて何も変えられない企業には、
まず時間の余白をつくることが重要だと考えるのですが、
これは私自身もできていないことです。

とはいえ、

  • 業務棚卸(社長・社員の仕事をすべて書き出す)
  • 切り出せる業務を副業人材に委託
  • 就業規則・契約・秘密保持などの整備
  • モデル企業をつくり横展開

業務棚卸は、「自社が本来やるべき仕事」と「外に切り出せる仕事」を見える化するための重要な一歩だと感じています。
棚卸を通じて、その境目がはっきりすると、副業人材の活用やDXの導入といった次の一手が具体的にイメージしやすくなる、という背景があります。


そういったところなどを踏まえ、サポートする地域の人事部のような基盤づくり・連携が鍵になるのではと。

これは全国でも始まったばかりで、
東広島としても学ぶ価値が高い分野です。

③ 小粒DX(省人化)

大きなシステム導入ではなく、
帳票・勤怠・在庫・予約などの小さなDXで十分。
DXだけでなく、デジタル人材が職場にいないことも課題だったり。

何にせよ月20~40時間の余白ができれば、凄くいい。

④ 承継(引き継げる会社づくり)

粗利と自由度が回復し、業務も整い、
財務・人材・ノウハウが整理されると、

  • 親族内承継
  • 社内承継
  • M&A

すべて選択肢が広がります。

承継は最後の段階ではなく、
粗利・自由度改善の結果として実現できるというイメージが近いです。

■ 3. Hi-Biz(ハイビズ)の役割を「フロント専門」に寄せるべきか?

ここは、今回の所管事務調査の最大の論点のひとつになる可能性があるのかも。


Hi-Bizを「PRの相談」「SNSの運用」といった表面的な支援だけで終わらせず、
粗利の出る売上構造を設計するフロント機能として再定義できないか?と感じています。

  • 誰に売るか
  • 何を主力にするか
  • いくらで売るか
  • 商圏をどう広げるか
  • 単価と価値の関係をどう見直すか

これこそが「売上側の粗利」を決める部分であり、
中小企業にとっては非常に重要です。

といっても、これはあくまで個人的な方向性の段階であり、
今後の視察や議論によって変わる可能性も大いにあります。


■ 4. 商工会議所・金融機関・特別相談との“分担”が必須

Hi-Bizがフロントを担うなら、
バックエンド(原価・DX・承継・財務)は誰が担うのか?

商工会議所・よろず相談・金融機関・士業などがパートナーであろうかという想定。

市がすべてをやるのではなく、
「誰がどこまでやるか」を明確にしたチーム東広島の体制が必要。

■ 5. 1社1カルテで「ストーリー支援」に転換する

これは個人的に強く感じるポイントです。

市・Hi-Biz・商工会議所・金融・地域の人事部などが、
企業一社ごとに

  • 課題
  • 打ち手
  • 進捗
  • 関与した機関
  • 次の一手
  • 成果

を共通カルテで共有できれば、
点の支援 → ストーリー型の支援に変わります。

これは人口減少期の地域経済の支援モデルとして、東広島市が先進地になれる可能性があります。

■ 6. 私自身の今の立ち位置(強く断っておきたい点)

ここまで色々書いていますが、
これは調査序盤の段階での、あくまで私個人の考え方・方向性です。

  • 所管事務調査はまだ始まったばかり
  • 今後、先進地視察も控えている
  • 執行部の追加資料・他委員の意見から学ぶことも多い
  • その中で考えが変わることは十分あり得る

むしろ、私の性格上より良い支援モデルが見えたら喜んで方向転換したい
という人間です。

■ 最後に ― 今回書いたことの位置づけ

この記事は、
「こうするべき」という結論ではなく、
今の時点で見えている構造と方向性の仮説です。

今後ともよろしくお願いいたします。