【2024年版】全国人口移動から読み解く、転入・転出のリアルを解説①

人口移動

直近で総務省の統計局から「2024年度の住民基本台帳人口の移動報告」の結果が公表されましたので、その統計をもとに国内全体の人口移動がどのような流れなのかを改めて把握していきたいと思います。
★人口移動の特徴は出生・死亡(自然増減)よりも短期で動く。

ちなみにですが、記事を書いていくとかなりのボリュームになりそうでしたので、今回の記事では人口移動の傾向把握に留めたいと思います。

この記事でわかる3つのポイント

全国の移動者数は横ばい
大都市集中は再加速ー東京圏の転入超過は13万5843人。
②広島県のR5転出超過数は1,784人、なかでも 20代が最大のマイナス。

全国の人口移動は「ほぼ横ばい」

まずは国内規模で年間どのくらいの人口移動(住所を移した人)があるか見てみましょう。

(以下、日本人及び外国人の移動状況)
※イメージしにくいのでサラッと流して頂いてOKです↓
・市区町村間移動者数は520万7746人(対前年比1.1%減)
・都道府県間移動者数は252万3249人(対前年比0.8%減)
・国外からの転入者数は73万5883人(対前年比5.1%増)
・国外への転出者数は37万1615人(対前年比7.2%増)

という人数規模。

2024年の
・市区町村間移動は520万7,746人で、前年比-1.1%と微減。
・都道府県間移動は252万3,249人で前年比-0.8%とほぼ横ばい。

ということですが、数字だけだとイメージできない&単年度比較だけでは分からないので、
10年間の推移を表したグラフをご覧ください。


出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

ご覧いただくと分かるのですが、移動者数の推移としては横ばいです。

因みに国外⇔国内の移動は以下のグラフになります。

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

一旦のポイントとして、
①日本国内の移動は少しずつであるが縮小
→(市区町村間の移動者数や都道府県間の移動者数は減少)
②外国人の流入が多い(増加傾向)
といったところでしょうか。

大枠の傾向を確認したうえで、少しずつ細かく見ていきます。

東京圏は依然と人口が集中 — 3大都市の転入超過が再拡大

次に都道府県ごとの移動を見ていきますと、
東京都市圏に人が集まっているのがわかります。

以下のグラフをご覧ください。
いわゆる東京一極集中といわれる現象です。

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

実際東京一極集中というのは、都心部の家賃高騰などもあり、ドーナツ化現象的な影響で東京圏域一極集中(東京近辺エリアに集中)という形になりそうです。
ちなみに東京圏の転入超過数は13万5843人の転入超過となり、前年に比べ9328人の拡大しています。

では東京以外の大都市圏である大阪や名古屋はどうでしょうか。
棒グラフを見ると確かに大阪も多いですが、圏域(エリア)領域まで広がっていません。

実際に以下の図を見てみると分かりやすいです。

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

この折れ線グラフを見ても、東京圏域(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)一強を表しているとも言えます。

さらに長期トレンドで見たらどのような傾向にあるのか、については次のグラフを参照ください。
※下記グラフは日本人のみの移動者

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

何度見ても1960年代のピーク時はすさまじいですね。

当時行われていた三大都市圏(東京や名古屋、大阪)への「集団就職」が、高度経済成長期を迎えることでピークに達します。

時を経て1970年代以降は緩やかになっていき、その後は5年・10年で見ると上下しています。
→一方50年スパンで見ると横ばいという解釈もできます。

ではもう少し細かく見るためにどのような人が国内移動しているのか、傾向を見ていきたいと思います。

20代が最大の移動世代—年齢別で見る人口移動

以下は移動者を年齢別&性別に分類したグラフになります。

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

一目でわかるのが20代の移動者数が飛びぬけて高く、年齢を重ねていくにあたって徐々に減っています。
→年齢を重ねると定住していく流れが強い

ちなみに県内移動は以下の通りです。

出典:総務省統計局 住民台帳人口移動報告結果(R7年4月24日公表)

グラフの形は若干違えど、20~30代の移動が多い傾向は同じです。
その若年層(特に20代)が主にどの地域に移動しているのかというと都市圏。

この度の報告書の内部に記載されていますが、
東京圏域で転入超過数 年齢ベスト3
・第1位:20~24歳(超過数8万6908人)
・第2位:25~29歳(超過数3万2065人)
・第3位:15~19歳(超過数2万827人)
となっています。
→多くの若年層が東京圏に移動している状況。

※転入超過:出ていく人数よりも入ってくる人数が多い状態。その差分人数が転入超過数。
例)1000人が転入し、800人が転出した場合、転入超過数は200人

では広島県はどうなのでしょうか。

広島県の転出超過—どうなっている?

実は「4年連続転出超過ワースト1位」というニュースが取り上げられ注目を浴びた広島県。
そのことについて広島県のホームページで説明をされています。
説明ページ(https://www.pref.hiroshima.lg.jp/soshiki/230/r7jinkouidoukaisetu.html
→国外からの転入がカウントされていないのに、広島県外への転出はカウントされているという内容です。

一概には言えませんが、外国からの転入は外国人が多いかもと仮定して、外国人人口を含んだ社会増減はどうなっているのでしょう。
広島県が公表している「令和5年広島県人口移動統計調査報告」の資料を見てみます。

出典:令和5年広島県人口移動統計調査報告


R5年度はー1,784人となっています。
資料内のデータを見てみると、-1,784人のうち外国人5,451人は転入超過となっているため、日本人のみの数字でいうと-7,235人となります。

外国人の転入が多いが、広島県全体では転出超過状態。
広島県においてどの年齢層が転出超過状態なのかというと、次のグラフを見て分かる通り移動者人口が多いのは20代。

ちなみにですが、広島県が令和6年に出した「若年層の社会現象要因調査分析」というレポートでは、「転出超過(人口の転出が転入を上回る)のうち10代から30代までの若年層が全体の8割以上を占めている」と記載があります。

出典:令和5年広島県人口移動統計調査報告


いずれにしても広島県から多くの若年層が流出しているのですが、どこに移動しているのでしょうか。

出典:広島県 若年層の社会現象要因調査分析について

図をご覧いただくと分かりやすいのですが、多くの方が3大都市圏に移動していることが分かります。
(外国人人口は含まれていないそうです)

資料記載によると、転出超過の主な理由は以下の通りです。
・就職
・転勤
・転職
・入学、転校
・その他
・伴う者(配偶者など)

もう少し細かくみると
・「就職」は、東京都、大阪府、兵庫県などの順
・「転勤」は、東京都、大阪府、福岡県などの順
・「転職」は、東京都、福岡県、大阪府などの順
・「入学、転校」は、東京都、大阪府、京都府などの順
となっています。

人口の3大移動時期ー広島県のレポート参照

転出超過が起きやすい時期は、以下の通り3つあります。

①大学進学期
②新卒就職期
③20代後半から40代までのUIターン時期
→49歳以降はUIターンがおおむね収束。

割合でいくと新卒就職期の転出超過が目立ちます。
東広島市においても4大学を卒業したのちの市内就職率は3%代と低く、課題となっています。

私自身も学生さんに聞き取りなどもするのですが、地元に帰る方や都市圏に行かれる方、広島市に行かれる方など様々。
就職先を先に決める方もいれば、居住地を先に決める方もいたりなど、考え方も本当に様々です。

どこに住むかは個人の生き方でもありますし、大事な人生の決断でもあるので当然強制はできませんが、快く選んでもらえる自治体・地域でありたいです。

社会増減(国→都道府県)についての大雑把な現状把握として一旦締めて、次回は続きになるようなものを書きたいと思います。
ではまた。